君をトリコにする方法
「あんたたちはこんなときでも変わらないわね~」



そう言う澪は、白のブラウスにスキニーのデニムパンツを着こなしてる。


浴衣じゃないのに、負けないくらいに綺麗だ。

きっと吉川くんも惚れ直しちゃったはず!


ちらりと目線を動かすと、居心地が悪そうな顔をされた。



「え……なに?」

「ふたりが一緒に夏祭りに来てて嬉しいなあ~って!」

「あー……うん」



言葉は少ないけど、吉川くんの表情は明るい。


隣にいる澪も少し照れくさそうだけど嬉しそうで、心が温かくなる。


にこーっと見ていると、吉川くんが落ち着きなく視線を動かす。



「……瞬、助けて」

「大丈夫。急に暴れ出したりしねーよ、たぶん」

「たぶんじゃ困るんだけど……」



瞬が吉川くんと楽しそうに話し始める。

こっちもやっぱり仲いいなあと思っていると、澪が「ねえ」と声をかけてきた。
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