君をトリコにする方法



夜がどんどん更けていくにつれ、人が多くなってきた。


屋台をまわって楽しんでいた人たちも、少しづつ移動し始める。



「なあ希帆。どこで花火見る?」

「ええっと……あんまり人がいないとこがいいな」

「おい、けっこう難しいこと言うな」

「あはは……できればで大丈夫!」



だって一世一代の告白を人に見られるの恥ずかしいんだもん!


いや、それならここで告白するなって話なんだけど……


でも私の中でしっかり決意が固まったといいますか……


心の中で言い訳していると、瞬がスマホで地図を確認し始めた。



「ん、じゃあ行くぞ」

「えっ、調べてくれたの?ありがとう!」



手をつないだまま一緒に歩いていく。

5分ほど経つと、目的の位置に着いた。

会場から少し離れた、道路近くの堤防。


人がたまに通るくらいで、がやがやとした音が遠くから聞こえる、静かな場所だった。
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