君をトリコにする方法
「ええっ、もう歩けるよ、大丈夫だよ!」

「それでもダメ。心配する俺の身にもなって」



そう言われて、うっと言葉に詰まった。



だってそんな風に言われたら、心配してくれてるんだって嬉しくなっちゃうし……


素直に大人しくしておこうという気になってしまう。



瞬は私が黙ったのを見ると、頭をぽんぽんと優しくなでる。



「ん、いい子。ちゃんと病院ついて行ってやるから」

「……うん、ありがとう……」



返事をするとにこっと微笑んで保健室を出て行った。



……どうしよう、嬉しい。



心臓のあたりがぽかぽかと温かくて、自然と口角が上がってしまう。



瞬、優しいなあ……



こういうところは、ずっとずっと前から変わらない。



「ふふ、青春ねえ。ほら立ってないで座んなさい。お茶でも飲んで待ってましょ」


「わーい!ありがとうございます!」



先生が淹れてくれたお茶は本格的で、すごく優しい味がした。
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