君をトリコにする方法



次の日、いつものように瞬と登校し教室に着くと、澪が彼氏の吉川くんと話していた。



「あとこれもオススメ。面白い」


「へえー。あ、ほんとだ。あらすじだけで面白すぎるでしょ」



あはは、と楽しそうに笑う澪が見れてにやにやしてしまう。



また本の貸し借りでもしてるのかな?



吉川くんは読書好きで、付き合い始めてから澪もよく読むようになったらしい。



そういうのを聞いたらいいなあって思っちゃうよねえ。


吉川くんも珍しく表情筋を動かして嬉しそうに話してるし、素敵だなあ……



ぽかぽかした気持ちで見ていると、「希帆ちゃん!」と話しかけられる。



「優愛ちゃん!おはよう、今日もいい天気だね」


「そうだねえ……ってそうじゃなくて!
メールで元気だよって言ってたけど、足は本当に大丈夫?」



うるうると心配そうな顔で見つめられて、きゅーんとする。



「病院行ったけど、全然大丈夫だったよ!」

「ほんと!?よかったあ……」



すごくほっとした顔をするから、ほんとに心配してくれてたんだなって嬉しくなる。



「優愛ちゃあん……!ありがとうっ」

「わわっ、希帆ちゃん……!?」



優愛ちゃんをぎゅーっと抱きしめると、私たちに気づいた澪がこっちにやってくる。
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