君をトリコにする方法
「こっちむいて」

「……うん」



素直に瞬の方へと顔を向けると、ぱちりと視線が交わる。



「付き合うってなったら、手つないだりキスしたり。まあその先のこととかすると思うんだよな、大低はさ」


「……うん」


「希帆は俺とそういうことするのいや?」



子どもをなだめるような優しい聞き方に、なんだか泣きたくなってしまいそうになる。



確かに私は瞬が好き。



だけど、この気持ちが絶対に恋なのかと言われると正直まだわからない。


でも、恋人つなぎとかキスとか、恋人らしいことをされてもいやなんかじゃなくて。



……そっか、私不安なんだ。



自分なりにちゃんと気持ちを伝えるために口を開く。



「……いやじゃない、けど……瞬はそういうこと、私としたいって思うの……?」


「思ってないんだったら、希帆の告白を受け入れたりしない」


「で、でも……!私たち幼なじみだし……!」


「その幼なじみに先に告白してきたのは希帆だろ」


「ううっ、そうだけど……!」



自分がおかしなことを言っているのは自覚してた。


私たちはもう恋人で、そういうことをしてもおかしくない関係で。


だけど相手が瞬だからこそ、そんな甘いことなんてしないって勝手に思ってたから。



わー、だめだ!



自分の気持ちなのに全然わからなくて、焦って、整理できてなくて。


瞬に迷惑かけてる。


そんなのいやなのに、もやもやしたピースをはめることができなくて、どうしたらいいかわからない。
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