君をトリコにする方法
「そういえば、小学4年生のときに行ったキャンプで、迷子になったことあったよな」


「な、なんで覚えてるの!?」



急に遠い思い出を話しに出されて驚く。


というよりは、まさか瞬が覚えていたとは思わなくてびっくりした。



「あのときバカみたいに探してやっと見つけたのに、綺麗などんぐり見つけてないから帰りたくないって駄々こねてさ」



なんとも恥ずかしい思い出だ。



涼しくなってきた秋に、私と瞬の家族みんなでキャンプに行ったときのこと。


家に帰る時間になったとき、まだ自分が納得できる綺麗などんぐりを見つけていなくて、ひとりで探しに行った。


案の定迷子になって泣きそうになっていたとき、息を切らした瞬が見つけてくれたんだっけ。


だけどどんぐりは見つけられていなくて、『見つけるまで帰らない!』と言ったことは覚えてる。


瞬にとっては、すごく迷惑だっただろうなあ。


私にとっては一大事だったけど、瞬からしたらどんぐりなんてどうでもいいだろうし。


ただでさえキャンプで疲れてるのに私のことを探してくれて、早く帰りたかっただろうな。


でも。
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