君をトリコにする方法
「瞬はあのときも今もずっと、私の気持ちをないがしろにしないで、大切にしてくれるよね」



キャンプのときだって結局、『一番きれいなの見つけるぞ』って言って、一緒に探してくれた。


あのときだけじゃない。



瞬は私の隣にいる、ずっとずっと長い間――



そう思うと無性に嬉しくなって、ふふっと笑みがこぼれる。


でも瞬は何も反応しなくて。



「瞬……?」



あ、れ……


黙って私の方を見る瞬はいつもと少し違った。


どこか熱を帯びた目をしていて、そんな瞳で見られたら体が熱くなる。



「しゅ、瞬……?」



私の呼びかけに答えることはなく、綺麗な顔がゆっくりと近づいてくる。


あれ、待って、これってまるで……



「瞬!ストップ!もしかしてき、キスしようとしてない!?」



思わずそう言って止めると、瞬ははっとした表情をする。



「……あー、ごめん。いやだったよな」



気まずそうに目をそらして、悲しそうにそう言うから胸がぎゅっと締め付けられる。



「ちがう!そうじゃなくて……は、はやいよ!」


「はやい?」


「だ、だって私たち付き合ってまだ1週間もたってないし、で、デートとかもしてないし!」



早口で言うと、瞬は押し黙る。

そして10秒ほどたったあと、また口を開いた。
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