君をトリコにする方法
「あのね立本さん」

「は、はいっ。なんでしょうか」



思わず身が引き締まる。

水野さんは私の目を見て、はっきりと告げた。



「私、去年瞬に告白したの」

「えっ」

「好きだったの、瞬のこと」



心臓がドクンと大きな音をたてる。

ばっと瞬の方を向くけれど、何も言わない。



……そっか、本当なんだ。


いや、この状態で嘘なんてつくわけないよね、うん……


全然……知らなかった。

でも別に珍しいことじゃない。


瞬はモテるし、告白していた人の中に水野さんもいたことがわかっただけ。


でも、でも……


水野さんもそうだったっていう事実がすごく苦しい。



何も言えずにいると、彼女はまたにこっと綺麗に笑った。



「それでね、ばっちり振られたの!」


「へっ……?」


「あ、今ではもう吹っ切れてるからね?そうじゃなきゃ他の男子とデートしようなんて思わないし」



その瞬間、水野さんの言葉は全部過去形だということに今更気づいた。


それでもまだ、ドクンドクンと心臓がせわしなく鳴ってる。
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