君をトリコにする方法
「あ、そうだ立本さん!私のこと花音でいいよ」

「えっいいの?じゃ、じゃあ花音、ちゃん」



ちょっとドキドキしながら呼ぶと、花音ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。



「私も希帆ちゃんって呼んでいいかな?」

「も、もちろん!」

「嬉しい。じゃあ、希帆ちゃん」



そう言って私の名前を呼んでくれる彼女の顔は、少し赤く染まっていた。


綺麗な笑顔、というよりはかわいらしさを感じて心が温まる。



「それじゃ、希帆ちゃんと仲良くなれたし帰ろうかな」


「えっ、帰るの!?」



今の流れ、一緒にまわる感じだった気がしたのは私だけ!?


せっかく仲良くなれたのに……



「ふふ、これ以上邪魔しちゃうと、瞬に本気で怒られちゃうからね」



いやいや、そんなことないよ……

って思ったけど、さっきから瞬の機嫌はずっと悪いから否定できなかった。



「だから、今度ふたりで遊ぼう?」

「うん!もちろん!」



嬉しくなって大きくうなずく。



「ふふっ、約束ね。それじゃ、邪魔してごめんね瞬。バイバイ希帆ちゃん。楽しんでね」


「はー、別にいいよ。じゃーな」


「バイバイ花音ちゃん、気を付けてね!」



見えなくなるまで手をぶんぶんと振り続ける。


花音ちゃんは微笑みながらずっと振り返してくれる、優しくて素敵な人だった。
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