君をトリコにする方法
花音ちゃんを見送ると、瞬はぎゅっといつもより強い力で手を握ってくる。



「ど、どうしたの瞬」

「デート中に他のヤツ誘うとかありえない」



ジロっと見下ろされて確信した。


お、怒ってる……!

私が思っていた以上に……!



「ご、ごめん!あのときは必死でして……」


「あーそう。だから『俺を貸す』とかも言ってたわけ?花音がノってきたら、俺置いてほんとに帰るつもりだったのかよ」


「そ、それは……!」



わああもうどうしよう!

でもこれは私が悪い!


わかってる、だってもし瞬が私と同じことしたら怒る自信がある……


自分のことばっかり考えて瞬の気持ちを考えてなかった。


私最低だ。



「……はー、いいよもう。イルカショーんとこ行くぞ」

「えっ、で、でも……」

「いいから。席なくなんぞ」



ぐいっと手を引っ張られてイルカショーの場所へと歩き出す。


花音ちゃんと仲良くなれたことで温まった心は、一瞬で冷えてしまった。
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