君をトリコにする方法
「……瞬、さっきはほんとごめんね。自分のことばっかりで瞬の気持ちないがしろにしちゃってた。瞬はいつも私の気持ち大事にしてくれるのに」



誠心誠意気持ちをこめて。


このままじゃ本当にデートが楽しくなくなってしまう。


ちらりと瞬の様子をうかがう。


瞬は私の方を見ると、いつものようにため息をついた。



「いいよ。どうせ花音に楽しんでもらいたいとかそんな理由だったんだろ」


「うっ……バレてたんだね……」


「それくらいわかる。でも」



そこでぷつりと言葉が途切れる。


な、なんだろう……

言いにくいことかな。


怖くなってドキドキしながら続きの言葉を待っていると、瞬とぱちっと目が合う。



「……でも、それでも、今日は別のヤツのことじゃなくて俺のことだけ考えてほしかった。初デート楽しみにしてたの俺だけみたいだしショックだったんですけど」


「えっ……」



ドキン、と心臓が大きく鳴る。


私のせいだし不謹慎だけど、そんなこと思ってくれてたなんて思わなくて。


それに瞬、昔のときみたいに拗ねてる。
< 67 / 189 >

この作品をシェア

pagetop