君をトリコにする方法
「……なんでそんな嬉しそうなの」

「えっうそ、そんなにわかる!?」



ジト目で見られて、自分のほっぺをむぎゅっと触る。


やばい、勝手に口角が上がってたかも……!



「瞬がそんな風に思ってくれてたってわかったら嬉しくて」



『初デート』……!


まさか瞬からそんな言葉が聞けるとは思わなかった。


そっか、楽しみにしてくれてたんだ。

どうしよう、ほんとに嬉しい。



「私だってすっごく楽しみにしてたよ、だからこんなにおしゃれしたんだし!」


「ふーん」


「……でも、だからこそ花音ちゃんのこと気になっちゃって。楽しめなくなっちゃったら嫌だなって思ったらつい……ごめんね」



もう一度謝ると、瞬は私の頭を荒っぽくなでてきた。



「ん、わかった。もう謝んないでいーよ。俺もイライラしてごめん」



さっきまでと比べて優しい声だった。

冷えていた心がじんわりと温かくなる。


すると右手をぎゅっと握られた。


その行動ひとつで、温かいをこえてすぐに熱くなる。
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