君をトリコにする方法
「え、ええ~やだな失礼な。何もないよ?元気元気!ほら、早く行かなきゃ遅刻しちゃうよ」



ごまかすように瞬の腕をぐいぐいと引っ張る。


私が嘘をついてるってきっと気づいているだろうけど、瞬はなにも聞いてこない。



「わかったから引っ張るな」


「はいはいやめます。あ、明日の体育バスケするって聞いた?」


「あー、聞いたような聞いてないような」


「なにそれ、絶対授業中ちゃんと話聞いてなかったでしょ!」



さっきまでの空気がなくなって、いつもの私たちのノリがかえってきた。



……よかった。



ほっと安心するのと同時に、心の奥で期待する気持ちがまだ残ってる。


もしも、もしかしたらって。


期待するだけ無駄だってわかってるのに、この気持ちは消えてくれない。
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