君をトリコにする方法
ゆっくり深呼吸してドキドキを収めていると、隣からくすっと笑う声が聞こえた。



「な、なに？」

「いや、希帆もそういうこと気にすんだなーって思って」

「え？」

「やきもち妬いた？」

「なっ……！」



ニヤッと笑われて、かあっと顔がまた熱くなる。
なんだか腹が立って、グーで瞬の肩をパンチした。



「わ、私だって嫉妬するよっ！花音ちゃんとは仲良くなれて嬉しいけど、こんなに素敵な子が瞬に告白したんだなって考えたら不安になるし……
ただでさえ瞬はモテモテで、よく告白されてるのに……」



自棄になって、思っていたことを吐いた。

こんなの、ずっと前から抱えていた気持ちだった。


言う権利なんてないし伝えたことはないけど、まさか瞬にそんな反応されるなんて。



ぺちんぺちんとパンチを繰り返していると、「ごめんごめん」と苦笑しながら止められた。



「希帆はそんなの考えたことないのかもって思ってたからさ。安心した」


「それはよかったです！」


「悪かったって。拗ねんなよ」



そう言いながらも瞬の声は嬉しそうだ。

なんなんだろう、この敗北感は。



「拗ねてないから。全然拗ねてないから！」



この言い方はもう、拗ねていますと言ってるようなもんだなと自分でも思った。
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