君をトリコにする方法
「希帆もクッキー食べたら?美味かったよ」


「なっ……!わ、私は今それどころじゃないっていうか……!」



逆にどうして瞬はこんなに余裕なんだろう。


私はこんなにドキドキドキドキして、どうしたらいいかって悩んでるのに。



「ふーん、いらないならもらうけど」



瞬が私の持ってるクッキーをじっと見てきて焦る。



「だ、ダメ!私が食べる!」



焦ってぱくっとクッキーを口に入れる。


わ、ほんのり甘くて美味しい……!

うんうん、やっぱり人助けはするものですな!


クッキーを食べたことで気分がちょっと落ち着いた。


すーはーと小さく深呼吸する。



「さ、教室戻ろっか」

「ダメ」

「え?」



ルンルンな気分で扉を目指していた足が止まる。


え、ダメって言った?

な、なんで?

教室に戻るかって瞬もさっき言ってたのに。



「気が変わった」



ニヤッと微笑む顔を見てドキリとする。


こ、これはなんか危険なスイッチ押しちゃった!?


なんで!?

というかどこで!?


あわあわしていると、その間にどんどん壁際へと追い詰められていく。
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