君をトリコにする方法
すると、また瞬が少しかがんで顔を近づけてきた。

待ってと言おうとした瞬間。



「次の授業なんだっけー?」


「数学。ご飯食べた後の数学とか寝る一択」


「こらこら、先生がまた悲しそうな顔で授業することになるよー」



と楽しそうな笑い声が聞こえた。



近い。

もしかしたらこの教室に入ってきたりするかも……


そう考えるとドキッとして体の動きが止まる。


でもそれは私だけで、目の前にいる瞬は動きを止めずそのままキスしてきた。



「んむ、ちょ、ちょっと瞬っ……!」



精一杯の小声で抗議する。

バレるかもしれない。


キスしているところを見られるのはもちろん恥ずかしいし、絶対回避したい。


でもそれ以上に怖いのは、私と瞬が付き合っているということがバレること。



日高瞬が幼なじみの立本希帆がキスしてた――
なんていう噂がこの学校で出回ってしまったら、きっと。



考えただけでゾッとする。


どうにかして瞬には止まってもらわなきゃ、と思っているとそっと離れてくれた。
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