君をトリコにする方法
ここまできたらあとはもう勢いだ!


背伸びをして、少しでもときめきが収まるように目をぎゅっとつむって――


ちゅっと一瞬触れるだけのキスをした。



……ほっぺたに。



「は?」



瞬に隙ができたその瞬間、扉をめざして走る。



「おい希帆!俺は口にしてってつもりだったんだけど!」


「わ、わかってる!けどこれが私の限界なの!」



それだけ言って教室を出た。

じっとなんてとてもできなくて、自分のクラスの教室まで走る。


顔が熱い。

頭まで沸騰しちゃいそう。


自分からキスすることがこんなにドキドキすることなんて知らなかった。



瞬はなんでいつも余裕なの!



ああ、ていうか瞬のこと置いてきちゃったけど大丈夫かな。


いやいや、正直それどころじゃなかったし許してくれるよね、うん、たぶん!


なんて考えてるとあっという間に教室に着いた。


変な顔とかしてないよね?

ちょっと走ってきたって言えば大丈夫だよね!
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