君をトリコにする方法
優愛ちゃんは本当に優しい女の子だ。


でもこういうときは「本当に気を遣わなくていいよ!」って伝えとかなくちゃな。


なんてったって私は優愛ちゃんとだって帰りたいんだから!


そりゃもちろん、瞬と帰れるのも嬉しいんだけど……!



「……希帆?」



……だけど、ダメだ。


優愛ちゃんの優しさを無下になんてしたくないのに。

ちゃんとそう思ってるのに、わかってるのにダメだ。


だってほんとは、澪と吉川くんのことがあってからずっと考えてる。



「……ねえ、瞬」

「なに?」

「私たち、いつか別れることもあるのかな」

「は?」



瞬がすごく怪訝な表情をして見てくる。

そりゃそうだ、いきなりこんなこと言われたらびっくりするよね。


だけどね、私気づいちゃったんだ。

恋人になれても別れる可能性があるってことに。


今思えば本当に当たり前なんだけど、『付き合えれば全部解決する』ってことに盲目になって気づかなかった。


幼なじみは別れて急に他人になったりしない。

そりゃ疎遠になったりはするかもだけど、とんでもないことを起こさない限りは『縁を切る』なんてことにはならないと思う。
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