君をトリコにする方法
だけど恋人は別だ。

今日の澪と吉川くんみたいに喧嘩をして、そのまま別れてしまうことだってきっと珍しくない。


それにずっと恋人でいられたとしても、その行きつく先ってなんなんだろう。


結婚?

高校生カップルが結婚する確率なんてとんでもなく低いのに?


ううん、いちばんの問題はそこじゃない。

私のこの気持ちが『恋』なのかはっきりしてないまま付き合ってるってことだ。


本当のことを誤魔化して告白して付き合って、これってきっと瞬にも失礼で。



ああもうほんと私、どうしよう……!



こんなの全部今更だけど、今になって自責の念に駆られる。


ずっと幸せだったから逃げてたんだ。



「……なに、急に。瑞稀たちのことで触発された?」

「……うん、そうかも」

「……ま、そりゃ、あるんじゃねーの」



その返事を聞いて、胸がぎゅっと締め付けられた。



「あはは、だよね!」



でもここで悲しい顔なんかしちゃだめ。

わかってる、わかってるけど、やっぱり……



「ごめんね、瞬……また明日!」

「はっ?おい、希帆!」



瞬の制止を振り切って走る。

だってそのまま隣にいたら泣いちゃいそうだったから。



嫌だった。


本当の意味では何も考えずに自分で関係を変えてしまったことも。


それを後悔してしまっている自分がいることも。


そんなことに今更気づいて悲しくなってる自分も。


全部嫌だった。
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