君をトリコにする方法



次の日の朝。

あれからずっとモヤモヤしている私と同じで、空は雲に覆われていた。


瞬が起こしに来ることもなく、朝ごはんを食べに来ることもない。


いつもだったら「今日は来ないな」で終わるけど、今はどうしても気になってしまった。



昨日突然あんなこと言って、それも置いて帰っちゃったからやっぱり怒ってるだろうな……


ちゃんと話さないと、謝らないと。

……あー!わかってるけど今日は無理!



一緒に登校するのも気まずくて、今日は早めに家を出た。


すると瞬と出会うこともなく教室に着いて、やっぱりいつもより人が少ないなと思いながら席に座る。


なにかをする気も出なくてぼーっと過ごしていると、優愛ちゃんが「おはよう」と教室に入ってきた。


そのあとすぐに澪もやってくる。


優愛ちゃんはいつもと比べると暗いものの、ふわりとした笑顔を浮かべていた。

けど澪は違った。


席を立って澪のそばまで歩く。

すると優愛ちゃんもかばんを置いて澪のところまで来てくれた。



「澪、おはようっ」

「おはよう澪ちゃん」



あくまでいつも通り挨拶する。


澪はどう返してくれるか様子をうかがっていると「おはよ」と沈んだ声ながらも返してくれた。
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