君をトリコにする方法
「あのね、昨日の夜ご飯オムライスだったんだ!」

「わあ~、いいなあ希帆ちゃん」

「えへへ、すっごく美味しかったよ!」



いつもと変わらない、小さな幸せをおすそわけするような楽しい話を続ける。


すると澪も少しだけど表情が明るくなった。


その変化にほっとして「そうだ優愛ちゃん」と声をかける。



「昨日のことなんだけど、一緒にかえ――」



そこまで言って言葉に詰まった。

瞬のことが頭に浮かんでしまったから。


しまったと気づいたときには案の定、優愛ちゃんが「どうかした?」と不思議そうな表情をする。


ここで言わずに誤魔化すよりは、そのまま話を続けた方が心配をかけることもない。


そうわかっているけど、モヤモヤの根が深すぎて上手く嘘を吐くことができなかった。



「あ、えっと、なに言おうとしたっけ。思い出したら言うね!」


「うんっ、気長に待ってるね」



優愛ちゃんがふわっとかわいく笑ったところでチャイムが鳴る。


そこで一度解散となった。



「……」
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