君をトリコにする方法



いつもより元気がないときでも時間は平等に流れ、あっという間に放課後になる。


どうしても気になってしまい、バレないようにちらっと瞬の机の方を見た。


机の主は座りながらめんどくさそうに帰る準備をしてる。


瞬は今日、二時間目から学校に来ていた。

ちゃんと登校しててよかったという気持ちと、会って気まずいという気持ちが混ざる。


話なきゃいけないのはわかってるけどその勇気も出ない。


どうしようと悩んでいると、瞬が私のところまで歩いてくる。



「なあ希帆、話したいんだけど」


「えっ、あー、ええと……ご、ごめん!今日は用事あるから……!」



視線をそらしながら言うと「……わかった」とだけ返事して瞬は行ってしまった。



私のばかばかばか!

せっかく瞬が話しかけてくれたのに……!

でも、でも無理だ……!


きっと『なんであんなこと気にしたの』って聞かれる。


その質問には普通に『別れたくないから』って言えばいい。


でも相手は瞬だ。

絶対もっと根掘り葉掘り聞いてくる。


そうなったら瞬に隠してること全部言わないといけなくなっちゃう。
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