君をトリコにする方法
「あ!そういえば昨日、澪ちゃんが好きだって言ってた映画をみたんだけどね――」



優愛ちゃんは笑顔で話し始める。


いつもはどちらかというと私がよく喋って、それに対して澪や優愛ちゃんが相槌を打ったりすることが多い。



だけど今日は違う。

いつも通りを装って優愛ちゃんがたくさん話してくれる。



きっと澪も気づいてる。

今日、優愛ちゃんにしては少し強引に誘ってきたのも、今こうしてなんでもないように話してくれるのも、全部優愛ちゃんの優しさだ。



優愛ちゃんは確かに天然だし、ちょっと抜けてるところもある。


だけどとびっきり優しくて、誰よりも周りの人のことをよく見てる女の子だ。


澪がまだ本調子じゃないことはもちろん、きっと私もいつもに比べて元気がないって気づいてる。


だけど理由を無理には聞き出さず、こうして寄り添ってくれる。


直接言葉にはせずとも励ましてくれる。



ああ、だいすきだなあ……



私がそう思ったとき、隣の澪も同じことを考えてたのか「ふふっ」と笑った。



「優愛、ありがとう」

「……へっ?」

「うんっ、私からも!ありがとう、優愛ちゃん!」



どうしてお礼を言われているかわからないという顔をしてる優愛ちゃんに私も感謝を告げる。

すると澪がぽつりとこぼした。
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