君をトリコにする方法
「……昨日ね、瑞稀が言ったの。自分じゃあたしと釣り合わないって」



その言葉を聞いて思わず目を見張る。

だって、私も瞬に対して同じことを思ってるから。


だけどそのことはふたりに話してないから言えなくて、黙って澪の続きの言葉を待つ。



「……あたしそれ聞いてカッとなっちゃって。瑞稀とは対等な存在だって思ってたから……絶対瑞稀もそうだって勝手に思ってた。あたしは瑞稀だから付き合ってるのにって」


「……そっか、そんなことがあったんだね……澪ちゃん、辛かったよね」



澪の声は怒っているのにとても悲しそうで、私たちの周りの空気がどんよりと沈む。


なんて言ったらいいかわからなかった。

だって私は吉川くんと同じことを思ってる。



こんなに悲しそうな澪に『実は私も吉川くんと同じことで悩んでる』なんて言えない。



それに……もしも瞬が澪と同じように思ってるとしたら、吉川くんみたいに素直に打ち明けたら怒ってしまうのかな。



澪がこうして話してくれたんだから真剣に向き合いたいのに、どうしても瞬のことがちらついてしまう。



「……でも、どうして吉川くんはそんな風に考えたんだろうね」


「……え?」



優愛ちゃんの言葉に澪が目を見開く。
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