君がはかなく散る前に
「紅葉狩りもしてみたいし、読書も…何か美味しいものも食べたいね。」
様々なモノを特集するテレビ番組を見ていた秋。
この時、彼女は外に出ることさえできなかったが、1人部屋の病室を折り紙の紅葉で飾り付けて、一緒に読書をして、栗や焼き芋を食べた。
彼女はほんの少ししか食べることはできなかった。それでも、美味しいと満足そうに食べる彼女を僕はずっと見つめた。
「メリークリスマス。」
彼女が一言、僕に呟いた冬。
僕は病室を暗くして、クリスマスツリーを光らせた。
彼女は横になったままツリーを見つめて、微笑んだ。
そんな彼女に僕は、指輪をプレゼントし、彼女の左手薬指にはめた。
彼女はその左手を少し上へ持ち上げて、ツリーの光に照らされる指輪を、嬉しそうな目で見つめていた。
そして、ありがとうと僕に微笑んだ。