かこみらい。
「朋香。携帯落とすなよ?」

「大丈夫だよー」



ジェットコースターの待ち時間。

雄太くんと写真を撮るタイミングを狙って、私は携帯を握っている。

撮るなら、ジェットコースターに乗る瞬間に撮りたい。

私と、雄太くんと、ジェットコースター。

その3ショットを記念に収めたいんだ。


徐々に近づいてくる順番。

もう少しでジェットコースターに乗れる!



「雄太くん! 写真撮ろう?」

「朋香!?」


私が携帯をかざした瞬間、足がもつれてしまった。


バランスを崩す私。

手から落ちていく携帯。

その携帯が踏まれた瞬間。


……全てが終わった。



「あーーっ! 携帯!」



携帯が人混みに紛れていく。

誰かの足に踏まれて画面が割れた瞬間を見てしまった。

雄太くんが注意してくれていたのに、落としてしまった。


携帯を拾いたいのに、列が進んでいく。

離れていく携帯を見つめながら、私はジェットコースターの前に流れ着いた。


……携帯は諦めて、ジェットコースターを楽しもう。



「2名様ですね? どうぞー」



アトラクションのお姉さんが声をかけていく。


いよいよ、私たちの番になった。
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