かこみらい。
新しいメガネ。

粉々になったメガネよりおしゃれでいいかもしれない。


私はそっとメガネをかけてみた。

クリアになる視界。

ぼやけていた世界が鮮やかに映る。

度数もぴったりだ。


うん。

気に入った。


私はメガネケースをスクールバッグにしまう。

そして、帰ろうと顔を上げたそのとき。



「朋香」



聞き覚えのある、優しい声が聞こえた。

目の前にいたのは。



「雄太くん?」



……私の大好きな元彼だった。



「朋香。メガネ、変えたの?」

「あ……。うん」



雄太くんは私が高校2年生のときに付き合っていた大好きな人。

高校3年生になると同時に別れてしまった。

受験勉強でお互い恋愛している暇はないから……、と。


雄太くんのことは今でも好き。

別れたけれど、未練は残っていて。

でも、別れを切り出されたから、今まで雄太くんのことは忘れようと必死だったのに。


なんで、今更、そんな優しい声で私の名前を呼ぶの……。
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