かこみらい。
「メガネ、似合ってるじゃん」



走馬灯のように思い出がよみがえる。

私と雄太くんが付き合い始めたとき、度数が合わなくてメガネを変えたときがあった。

そのときも雄太くんが言ってくれた。



『メガネ、似合ってるじゃん』



その言葉が嬉しくて、私はずっとメガネをかけている。



「ありがとう」



短く切った髪の毛に手を触れる。

雄太くんと別れることになって切った髪の毛。

今は少し伸びて肩くらいのボブヘアだ。


雄太くんが好き。


押さえていた気持ちが私の中で溢れ出てくる。

もう、過去には戻れないのに。

分かっているのに。

雄太くんの姿を追い求めてしまう。



「んじゃぁ。気をつけて帰れよ」
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