かこみらい。
プシュー。

降車駅について、ドアが開く。

私と雄太くんは押し出されるように電車から降りた。

そのまま、家に向かって帰る。


隣を歩く雄太くんは、公園まで送ると言ってくれた。

最初は断ったけど、雄太くんが引き下がらないから……。

何気ない会話も頭に入らない。

だって、手が触れそうで触れないんだもん。

触れたいのに、触れられないって、やっぱり辛いよ……。



「でさー」



雄太くんが楽しそうに話をしてくれる。



「うん」



その笑顔も、全部私のものだったらいいのに。

こんなに距離が近いのに、なんで遠く感じるの……。



「あ。公園に着いた」



雄太くんが立ち止まるから、私も立ち止まる。



「……送ってくれてありがとう」



本当はもっと一緒にいたい。

そう言いたいのに、言葉にならない。



「んじゃ。また明日」

「また明日ね」



そう言って雄太くんは私を通り過ぎて行くんだ。
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