ハツコイぽっちゃり物語
ギョッとしたお姉ちゃんは再び引き剥がすと、今度はクッションを強く抱える。
「もー何やってんの……。そんなに寒くないよ」
「寒いの!お姉ちゃんは厚着してるからそう言えるんだよ」
「はぁ、せっかく千桜の好きな大福買ってきたのになぁ……」
「っ!」
――いやいやいや、駄目だ。食べ物で釣られるような私じゃないんだからっ。
その話に乗らないもんね!
た、食べたければどーぞ!
私抜きで食べちゃってください!
「あっそ。あんこぎっしり詰まった千桜の大、大大だ〜い好きな、やつなんだけどなあ……そっかそっかあ、じゃあ私たちで全部!食べちゃうからね!」
わざとらしい口調で誘ってくるお姉ちゃんは楽しそうにその場を去っていった。
遠くの方で「千桜食べないってー」という声が聞こえたのを合図にまた私はお布団にくるまるのであった。