ハツコイぽっちゃり物語

「んーーー!おいひ〜」


美味しそうに声を上げている人の周りには幸せなお花が咲いている。
それを呆れたように、でも嬉しそうに笑っているのは私のお姉ちゃん。


「本当に千桜は大福好きだよねえ」

「……っ、大福というより“餡子”が好きなんだよお姉ちゃん」


やっぱり大好物な餡子には敵わなかった。
大福=餡子だもん。
餡子大好き!粒あんorこしあんっていったら、私はこしあん派。粒の方も好きだけどね。


「千桜もう食べるのやめたら?それ何個目よ……」

「8こめ……?」

「いやそれは食べ過ぎだわ。って、箱の中あと4つ!?も、もうおしまいね!?これ後愛斗のママたちに渡すからね」

「えー」

「えー、じゃないよ。……あ、ほら来たんじゃない?」


本日2回目のインターホン。
お姉ちゃんの言った通り、霧山家が家に上がってきた。


毎年恒例、年末はどっちかの家で年を越すことになっている。
今年の最後は我が家で。


玄関の方でワイワイと声がしているのを耳に私は他人事のように、盛り上がってるなあと呑気に思う。


すると、ガチャりとリビングのドアが開いた。

< 122 / 200 >

この作品をシェア

pagetop