ハツコイぽっちゃり物語
私は恋ちゃんのこと……――。
また場面が切り替わった。
今度は学校の廊下に立っているみたい。
視界の中心部分だけがハッキリ見えていて、あとはぼんやりと見えている。
だけど、だんだん息が荒くなっていくのがわかった。そして息をのむ。
怖くて、震えて、声が出せない。
思い出したくない光景に、これは中学生の時だと確信する。
当時一部の男女グループに嫌がらせを受けていたことがあった。
これは私が本を返しに行こうと図書室へ向かう最中の出来事だ。
目の前には3人の女の子。黙っていれば可愛い子なのに……。
『米倉さんていつもなんの本読んでるの?』
『見てよ。恋愛小説だって。読んでんの』
『マジ?ウケる』
『デブなくせに恋愛とか有り得ないんですけど〜。そもそも好きになってくれる人なんていないでしょ』
『それなー!あはははっ』
やめてよ。うるさいうるさいうるさい!
なんでそんな事言うの?好きな本読んじゃ駄目なの?恋愛小説読んだだけでなんでこんなこと言われなきゃいけないの?