ハツコイぽっちゃり物語

タネ明かし


冬休み明け。


教室には顔なじみのクラスメイトの姿がチラホラ。


私に気づいた人は口々に「おはよう」と言うから私もすかさず「おはよう」と返す。


席に着いてリュックから本を取り出した。
続きのページから2,3ページ進んだあたりで前から「おはよ〜」と声を掛けられた。



「あ、ちーちゃん。おはよう」

「あーもう帰りたい。まだ休んでたい。学校に来てるとか夢だと思いたいー」

「あはは、残念ながら現実です」


ちーちゃんは席に着くなりリュックに顔を沈ませてブツブツ言う。
その姿にふふと笑うけど内心ドキドキしてる。


そう。私はちーちゃんに言うんだ。
「私も恋ちゃんの事が好き」って。


言うか言わないかものすごく悩んだ。昨日まで。
大切な親友の恋人を取る、だなんて私には性にあわないし、そんな勇気さえ無い。


けど、好きって自覚した今だからちーちゃんには伝えるべきなんじゃないかって。
これもワガママで身勝手な行動だと自分でも思ってる。


でも、だからこそ、親友には隠し事なんてしたくない。


……もしこれでちーちゃんと仲が悪くなってしまったら、怖いけど、仕方ないと思う。
だって、全ては優柔不断な私のせいなんだから。
嫌われてしまったら受け入れるしかない。


……その覚悟で私は今ここに来たんだから。

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