ハツコイぽっちゃり物語

やっと笑い収まった彼女は私に向き直って順を追って説明してくれた。


言い終えたちーちゃんはスッキリしたように背伸びをしてる。

えっと、つまり……?


・ちーちゃんは、私が恋ちゃんを少しでも想っているんじゃないかとずっと思っていた。

・恋ちゃんが私を好きだということも承知済み。

・振られた恋ちゃんに偽装の恋人を演じる提案をして私の反応を様子見していた。

……そして今。私が出した答え。


ってこれ……



「策略勝ちじゃん」

「えへっ」

「『えへっ』じゃないよ。何してくれてるの」

「ま、いいじゃん?結果やっと気付けたんだし。こっちだって見ててもどかしかったんだよ。先輩を好きなはずなのにどこか霧山を想ってる。現に先輩も気付いてたでしょ?」

「ゔ……、うん……」


おっしゃる通り、その通りです。


ちーちゃんは一体どこまで見通してるんだ。
先輩が私の気持ちに気付いてたということまで知ってたなんて……――。


あっ。あの時か。クレープ……。



「でもごめん。勝手なことして。……だけど私はこの答えが正しいと思う。人の恋路を邪魔するような真似したけど、私は千桜に霧山を選んで欲しかったから」

「ちーちゃん……」

「ま、なんでアイツがいいのか私にはサッパリだけど」


ジーンとした思いに浸る隙もなく、ため息混じりにそう言った彼女に苦笑する。


“邪魔するような真似したけど”と言ったちーちゃんだけど、私もこの想いに改めて気付くことができたから、それでいいと思うんだ。

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