ハツコイぽっちゃり物語

「っ、すみません。急に泣いちゃって。もう、大丈夫です」


深呼吸を何度かして、そう告げると撫でてくれていた手がそっと離れていった。


……ずっと摩ってくれてたんだ。なんか申し訳ないな。


ハンカチで目元を拭い、先輩を見上げる。

眉毛を下げてこちらを同じように見つめる先輩はふわりと笑って、机2個分の距離を置いた。



「俺から話していい?」


頷くと、“ありがとう”と笑う。


机に腰をかけたその姿はモデルみたいな風格があって、かっこいいなと心から思う。

この人が私の彼氏だなんて夢みたいだけど現実で毎日が幸せすぎた。


“図書室の王子様”で有名な先輩。
本人は耳にしてるだけで、自覚はないと言っていたっけ。

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