ハツコイぽっちゃり物語
「俺ね、米倉さんが好きだよ」
真っ直ぐな言葉と視線にドキッと胸が高鳴る。
「米倉さんは俺の初恋の人でね。覚えてないと思うけど、あれは確か……おととしの5月だったかな。図書室でテスト勉強してた時、米倉さんを見かけたんだ」
おととし……ってことは私は入学した年だ。
先輩は2年生。
私は知ってますよ。先輩がいた事。
だってその時はもうすでに先輩に恋してましたから。
「ただ、名前までは覚えてなくてね。一緒の委員会の子だなって。楽しそうに何か話してる姿になんか心が熱くなったんだよね。……今思えば、それが恋した瞬間だったんだと思う」
「……先輩……」
「はは。そう初めてだったんだ。恋をするって。年に2回しか委員会の集まりないでしょ?だから後期も来年も居るかなって勝手に期待してた」
初めて打ち明けるみたいに、照れた様子で、時折私を見てははにかむ。
胸が苦しかった。また泣きそうになる。
だって、初めて聞いた。
先輩の初恋が私だなんて思わないじゃん。