ハツコイぽっちゃり物語
《来週中間テストだよ》
「あ……ホントダ……」
《だから先輩のとこはテスト終わったら行こ》
頑張ったご褒美だと思ってさ、と私をフォローしてくれる彼女にうんと頷く。
それにしても忘れてた。すっかりだ。
そういえば授業中何回か先生が大声で言っていた気がする。
……ヒィー、恋って恐ろしい……!
今までこんなことなかったから今ものすごく焦ってる。
《ところで次いでに聞くけど。葵生先輩って土曜日も入ってんの?》
あ……。
黙った私を見透かしてか、これまた電話先で《やっぱり》と呆れた様子で呟く。
そういえばバイトってシフトってものがあるんだったよね。聞くのもすっかり忘れてた。
だって先輩急いで行っちゃったんだもん……。
《せっかく誘ってくれたんだし、それに働いてる先輩見たいんでしょ。そこ把握しとかないと行って『今日は来てないよ』なんて言われたら嫌でしょ》
ご最もです……。
そうだよ。先輩居ないとクーポンの意味ないじゃん。
一番肝心なことを指摘したちーちゃんが電話を切ったのを確認して重たい息をはいた。