ハツコイぽっちゃり物語

先輩にメッセージを送るため画面を表示する事10分が経過した。
LINEを交換した日以来だ、と画面とにらめっこ。


ただ聞くだけなのになんでこんなに緊張してるんだろう。
手まで震えてくる。
告白をするわけでもないのに、【先輩】とキーボードで打っては消してを繰り返す。



「あーっもう!緊張するっ」



1文字1文字綴っていくけど言葉がおかしくなっていないか何度も確認した。
出来上がった文は何度も読み返して文法だって違わないはずなのに、なぜかどこかおかしいんじゃないかって思ってしまう。


送信ボタン……。
押すよ?押すからね?

躊躇った親指が意を決して勢いよく触れた。



「送っちゃった……」


力が抜けてベッドに倒れ込む。


心臓の音がうるさい……。
はーあ。おかしい。


さっきまで笑えなかったのに今ものすごく幸せに笑ってる自分がおかしい。


送ったばかりのメッセージにはまだ既読はついていない。
もう寝たかな、とかカノジョでもないのに先輩の生活まで思ってしまうのはやっぱり恋をしているからなんだと思う。


誰だって恋すればそうなるよね。
好きな人が今何してるのか気になっちゃうのはもう本能なんだと思う。



「先輩」


が、好き……――。


だんだんと瞼が閉じていく。


夜中、手元のスマホに明かりが点いた。
既読がついたことも、返信が来たことも起きるまで気付かなかった。


でもやっぱり金曜日は特別で、素敵な日だ。

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