ハツコイぽっちゃり物語
泣き顔にキス
最近、葵生先輩を見かけると向こうから手を振ってくるから頑張って振り返すんだけど、あの日のことがすぐ蘇ってきて視線がなかなか先輩に定まらない。
嬉しいんだけどねぇ……。はぁ。
ちーちゃんには言ってない。
ううん言えない。あんなに応援してくれたのに『やっぱり告白出来なかった』なんて言ったら呆れちゃうもんね。
そもそも先輩のこと呼んだだけで告白したように思ってしまってる……なんてことを言ったらこれこそ、ちーちゃん呆れて怒っちゃうかもしれない。
このままじゃ先輩卒業してしまうぞ……。
なんて思いながら放課後ランチルームにて、雑談中。
帰りに一旦ちーちゃんと図書室に寄るべく、そこに繋がる階段から行こうとしたところでランチルームから私を呼ぶ声がして、今に至る。
呼んだのは晴菜ちゃん。その横にははじめましての眼鏡をかけた三つ編みの可愛らしい女の子。名前は梶原友美ちゃん。
「お願い!ちょっと時間あったらでいいんだけど」と言ってちゃっかり席につかされた私たち。
はじめは晴菜ちゃんとこのバイトで出す新作メニューについての考案を模索していたんだけど何故か今は恋バナに……。