ハツコイぽっちゃり物語
ともちゃんの声で我に返る。
あともう少しでなんて言ってたか思い出せたんだけど、まあそこは後ででいいっか。
「あ、恋ちゃんのことどう思ってるかって話だよね?」
話の続きを思い出してそう言うと横からちーちゃんが「千桜は霧山のこと“普通の男の子”としかみてないみたいだよ」と割って入ってきた。
「そうなの?」
「あら、かわいそうに霧山」
「えっ?えっ??」
なんでそこでため息つくの? ともちゃんも。
すると突然晴菜ちゃんが眉間に皺を寄せて言う。
「なんかさぁ、あのふたりの放つ空気感やばくなかった?」
「分かる」
ちーちゃんは真っ先に同意して、ともちゃんもうんうんと頷く。
私はというと、そんな空気感あったかな?と思うように首を傾げた。
3人ともなにか見えてるのかな。
なんでそうだって分かるの。私は普通に話してる2人にしか見えなかったよ。
「千桜ちょっと見に行ってきたら?」
「え、なんで」
「なに話してるか気になるじゃん」
なんでまた急に。そんなに気になるならちーちゃんが行けばいいのに。
「え、じゃあちーちゃんも一緒に行こ。私別に気になんないもん」
そう言うけれど彼女は頑なに首を振るもんだから仕方なく、立ち上がってその場を離れた。