何色にも変われるきみ
「じゃあ、席はあそこだ。空いてる席があるだろう。隣は有馬《ありま》だ」
……え? 僕の隣?
驚いて固まっていると、すでに隣にはきみがいた。
「よろしくね、有馬くん」
「あ、うん。こちらこそよろしく」
まさか隣になるなんて、思わなかった。
「分からないことたくさんあるから、何かあったら聞いてもいいかな?」
「う、うん。もちろんだよ」
先生の話が終わると、早速話しかけてきた。
「フルネーム聞いてもいい?」
「あ、そうだね。僕は有馬礼央《れお》」
「じゃあ礼央って呼ぶね。私のことは和香って呼んでくれていいよ」
いきなり呼び捨てなんだ。
かなりペース持ってかれて断れない。
「あ、今困らせちゃったね。ごめんごめん、ついクセで」
クセ? まあ初対面なのによく話すから、こういうことも多いのかもしれないな。
でも、なんで困ったってわかったんだろう。
できるだけ僕は顔に出さないようにしてるのに。
他人と話してい思い出はほとんどないから。