何色にも変われるきみ

井藤さん___じゃなくて、和香のことを不思議に思って見ていると、さっきと瞳の色が違って見えた。

なんで色が違うんだろう。

気のせいだと思いたくても思えない。

だって、和香の瞳が純黒に染まっていたから。

「礼央、その顔は気づいたって感じだね」

「え?」

「面白いでしょ。私、人の感情がわかるの。読み取った感情の色によって、私の瞳の色も変わる」

「読み取った感情の色って?」

「例えば、今の礼央だったら困っている色。だから、私の瞳は黒くなる。悲しかったら青っぽかったり、嬉しかったらほぼ透明になる。怒ってたら赤くもなる」

その話を聞いて、僕は単純に羨ましくなった。

いつも口を開いたら、人を傷つけてしまっていた僕だから。

「礼央はさ、今までに後悔がたくさんあるんだよね。だけど、その後悔は絶対未来に繋がるから。それに、この力は必ずしもいいと思えるものでもないんだよ」

「なんで?」

「みんな気味悪がるんだよ。私の瞳の色が急に変わるから」

「でも色が変わるのは、ちゃんと相手のことを知ろうとしてるからなのに」
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