何色にも変われるきみ
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私が引っ越してからもう一ヶ月くらい経つけど、礼央とは必然的に話すことが多くて、基本的に一人でいるみたいだからお昼も一緒に食べている。
初日こそ質問攻めにあったけど、みんな私の瞳に気づいてすぐに話さなくなったんだ。
そんなある日、小学校の頃の記憶がよみがえってきた。
ちょうどいいし、私の過去のことについて礼央に知ってもらうのもいいかもしれない。
なんか知っててもらいたい。
そう思って、お昼に少しだけ話を聞いてもらうことにした。
時間になっていつも通りに屋上に向かうと、少し他愛もない話をしてからきりだした。
「これから、私が小学校の頃の話をしてもいい?」
「いいけど、どうかした?」
「ううん。大したことじゃないんだけど、その頃ちょっと嫌なことがあったの。もし良ければ聞いてくれないかな」
「もちろん! 僕でよければなんでも言ってね」
「ありがとう」
礼央は大きく頷いてくれた。
私には礼央の“頼って”という、その気持ちがちゃんと伝わってくるから、安心して話すことができるんだ。