何色にも変われるきみ
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あれは確か、小学三年生の時。
私にはその頃、ちゃんと友達がいた。
礼央のように安心できる友達が。
ある日、その友達___奏心《かこ》が、同じクラスの男子を好きになったことがあったんだ。
奏心は内緒で私に教えてくれたから、
『絶対に隠すね』
と約束した。
それでも私は、瞳にそれが写って見えちゃうから、その男子を見た奏心の恋の色が映ってしまった。
その色は、淡い淡いピンク色。
それは奏心の恋をまるっきり写していたんだ。淡い淡い恋をしている、と。
頑張って隠そうとしても、どうしても前を見ようとすれば、その色は誰かに見えてしまった。
私の瞳を見た人は、誰が誰を好きなのか、それをすぐに理解してしまって。
約束したはずの私が証拠になってしまった。
絶対にばらしたくなかったんだと思う。
その日から、奏心は私のことを避けるようになった。
他の人も、私のことを『裏切り者』と言って私と全く話さなくなった。
このときから周りに人がいなくなったんだ。