何色にも変われるきみ

❀❀❀

あれは確か、小学三年生の時。

私にはその頃、ちゃんと友達がいた。

礼央のように安心できる友達が。

ある日、その友達___奏心《かこ》が、同じクラスの男子を好きになったことがあったんだ。

 奏心は内緒で私に教えてくれたから、

『絶対に隠すね』

と約束した。
それでも私は、瞳にそれが写って見えちゃうから、その男子を見た奏心の恋の色が映ってしまった。

 その色は、淡い淡いピンク色。

それは奏心の恋をまるっきり写していたんだ。淡い淡い恋をしている、と。

頑張って隠そうとしても、どうしても前を見ようとすれば、その色は誰かに見えてしまった。

私の瞳を見た人は、誰が誰を好きなのか、それをすぐに理解してしまって。

約束したはずの私が証拠になってしまった。

絶対にばらしたくなかったんだと思う。


その日から、奏心は私のことを避けるようになった。

他の人も、私のことを『裏切り者』と言って私と全く話さなくなった。

このときから周りに人がいなくなったんだ。
< 7 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop