After the Rain
未だにズルズルと元カノのことを考えてしまう自分にうんざりしながら、僕は濡れたアスファルトの道を歩いていた。雨が上がったため、みんな傘を畳んでいる。

「近道しよう……」

多くの行き交う人の中に幸せそうに歩く恋人同士を見つけ、胸がざわつく。僕はいつも通う道から離れ、裏路地を通って住宅街に出た。

住宅街を歩いていると、普段は子どもたちが遊んでいる公園が見えてくる。でもさっきまで雨が降っていたせいか、はしゃぐ子どもの姿は誰もいない。でも、何故かベンチにずぶ濡れの女性が座っていた。

「だ、大丈夫ですか?」

虚な顔をしている女性を放っておけなかった。僕が声をかけると、女性はゆっくりと顔を上げる。その目は驚いてしまうほど綺麗だった。

「すみません。彼氏に振られてしまって、ショックで動けなくて……」

そう言い、女性はゆっくりと立ち上がる。着ている白いシャツは透け、水色のスカートの裾からは水が滴り落ちていた。その女性はそのまま立ち去っていこうとしていたので、僕は慌ててその手を掴む。
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