黒い桜の花は、散ることしか知らない(中)
 T達の店を出てから、車に乗ると、Mちゃんが、「初詣に行って無いから、行こう!」と言い出した。
 時刻は、深夜…。
 確かに、京都は、色んな神社があるけど、どこも、17時までのところが多い…。
 あたしが、思いついた神社は、以前から「行きたい。」と思っていた神社…。
 だけど、その神社は、静岡にある…。
 京都からと言えど、距離がある上に、初めて行くところ…。
 不安もあった。
 でも、行きたくて、Mちゃんに言ってみた。
 「Mちゃん…。
あたし、ずっと、行きたいと思っている神社があるんだけど…。
でも、遠いから、無理なら「無理。」って言ってね?」
「分かった。
どこにある神社?」
「し…静岡…。」
「静岡〜?!!」
「う…うん…。
(やっぱり、ダメかな…。)」
「まぁ、静岡ならいいよ。」
「本当?!!」
「うん。
富士山初めてだし。」
「あたしも、富士山初めて!!」
「静岡の何て神社?」
「浅間神社。」
「浅間神社ね。
OK!!」
 あたし達は、ナビをセットし、浅間神社に向かった。
 あたしは、向かう途中、T君にlimeした。
 「今日は、ありがとう。
楽しかったぁ。
途中、焦ったけど…。
仕事頑張ってね。」
 仕事中なのに、T君の返信は、早かった。
 「こちらこそ、ありがとう〜。
気ぃ付けて帰るんやで?」
「それが、帰らずに、静岡に向かってる…。」
「静岡〜?!!
なんで?!!」
「初詣に…。」
「いやいや…。
京都にも、神社いっぱいあるやん…。」
「まぁ、そうなんだけどね…。」
「まぁ、気を付けて行くんやで?」
「うん。
ありがとう。
行ってきます。」
「は〜い。」
 浅間神社は、コノハナサクヤ姫と言う、神様を祀っているところで、コノハナサクヤ姫は、美、桜、酒の神様。
 桜と酒が好きなあたしは、この神様が、大好きなのだ。
 「(浅間神社に行けるなんて、夢みたい!!)」
 あたしは、胸を躍らせた。
 浅間神社は、本宮が、富士山にあるんだけど、登山未経験&クロックス、更に、車は、ノーマルタイヤ…。
 到底、行けるようなじょうたいじゃなかった。
 あたし達は、本宮をあきらめて、ふもとにる、浅間神社に行くことにした。
 道中、あまりにも、富士山が綺麗で、街や電線なんかが、写ったけど、夢中で撮りまくった。
 ナビ通りに行くと、山梨県に入ったので、「(おかしい。)」と思い、調べると、違う浅間神社が、登録されていた。
 ナビをセットし直して、行きたかった、浅間神社に向かった。
 希望の浅間神社に着くと、あたしは、YTにlimeした。
 「YT、えり、静岡〜!
だから、富士山〜っ!!」
 富士山の写メを何枚か送った。
 YTは、安定の既読無視…。
 でも、それでも良かった。
 神社の外には、正月ということもあり、少しだけ、出店があった。
 「(出店って、見てるだけで、わくわくする〜!)」
 神社の中に入ると、コノハナサクヤ姫を祀ってあるだけあって、大きな桜の木があり、お守りも、桜模様の物ばかりだった。
 あたしとMちゃんは、お守りを買い、おみくじを引き、おみくじを持って帰ることにした。
 帰りに、出店で、ベビーカステラを買って、車の中で食べた。
 これからどうするかを、話し合ったら、地元のホストクラブで、食べ飲み放題1万円と掲載されていた。
 あたしが、Mちゃんに伝えると、「行こう!」となったので、高速で地元まで帰った。
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