黒い桜の花は、散ることしか知らない(中)
 食べ飲み放題1万円のホストクラブに行くと、新人が入っていた。
 新人の名前は、N。
 Nがついた時、いっぱい、話した。
 あたしは、Nの話し方から、「(どこかでしていた?)」と、思ったので、Nに聞いてみた。
 「話し方から、どこかでホストしてた?」
「うん。
埼玉で。」
「埼玉?!
埼玉の人?」
「ううん。
地元は、こっち。」
「そうなんだ。」
 それから、他愛のない話しをして、Nは、別の席に行った。
 あたしは、既に担当が居たけど、N店は、指名がえ自由なので、Nを指名しようと、思っていた。
 そんな時に、Nが、あたしの前を通ったので、声をかけた。
 「ねぇ!
その指輪、カッコいい!!
見せて?」
 Nを呼び止める、口実だった。
 Nは、立ち止まり、指輪を見せてくれた。
 「やっぱ、カッコいい!!
これ、ちょうだい?」
 冗談のつもりだった。
 だけど、Nは違った。
 「いいよ。」
「(本当にくれるの?)
(いいのかな…。)」
 Nは、指輪を外して、本当にくれた。
 「ステンレスだから、安物だよ?」
「ステンレスの方がいいの。
ありがとう!!」
 普通に、指輪をくれたことに、驚いた。
 「(誰にでもあげてるのかな…?)」
 そう思ったら、ちょっと、悲しかった。
 それでも、あたしは、指輪をつけて、ニコニコしていた。
 すると、そこに、担当が戻ってきた。
 Wは、指輪に、すぐ、気付いた。
 「その指輪、どうしたの?」
「もらっちゃった。」
「ふぅん…。」
 Wは、自分の指輪を見せてきた。
 「これ、俺の指輪。
どう思う?
カッコいい?」
「(なんで、そんなこと聞くんだろ…。)
うん。
カッコいい。」
「欲しい?」
「えっ?!」
「あげるよ。」
「えっ?!」
 そう言って、指輪を外す、W…。
 「はい。」
「ありがとう…。
(Nへの敵対心…?)」
 Wからも、指輪をもらってしまった。
 あたしとMちゃんは、沢山、食べて、飲んで、満足して帰った。
< 4 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop