黒い桜の花は、散ることしか知らない(中)
 地元に帰ると、やっぱり会いたくなるのは、YT。
 YTに、会いたくて、あたしは、我慢の限界だった。
 Mちゃんの提案で、朝、S2店の近くの駐車場に駐車した。
 あたしは、コンビニと、駐車場を行ったり来たりした。
 「(コンビニか、駐車場か…。)
(どっちでもいいから、会いたい…。)
(ほんの少しでいいから…。)
(YTに、会いたい…。)」
 そう願いながら、コンビニから、駐車場に戻ると、S2店の人達が、帰るところで、YTも居た。
 「(YT!!)
(会えたぁっ!!!)」
 会えてことが、嬉しすぎて、ドキドキが、止まらなかった。
 精算機の前に、S2店のみんなが並んでいて、あたしは、YTの前に並んだ。
 「(す…、すぐ後ろに…、YTがいる…。)
(何か話さなきゃ…。)」
 でも、ドキドキで、頭の中は、ショート寸前…。
 それでも、「(話さなきゃ…!!)」とういう思いから、何とか、声をかけた。
 「お…、お疲れ様…。」
 自分の顔が真っ赤なのは、見なくても分かった。
 「ありがとう。」
「(きゃー…!!)
(「ありがとう。」って言われちゃった!)
今…、帰り…?」
「うん。
今日も疲れたー…。」
 自分の後ろから、優しい声が、YTの声がすることに、あたしの顔は、益々、赤くなる。
 「そうなんだ…。
(もっと、話さなきゃ!)」
 そう思っても、言葉が出ない…。
 焦るあたしに、YTが、話しかけてくれた。
 「ここの駐車場、高くない?」
「えっ?!」
「1日800円するんだよ?」
「そうなんだ…。
あたし、少ししか、置かないから…。
家…、近いし…。」
「そっかぁ〜。」
「うん…。
じゃあ、またね?」
「うん。」
 出来た会話は、これだけ…。
 それでも、幸せだった。
 それだけ、YTのことが、好きなのだ。
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