Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
アーベル、フランツ、ヨーゼフの3人とはよくつるんだ。
特にアーベルは学年でもトップクラスの成績を誇っていたし、妙なプライドを持つこともない。成績優秀な彼を妬むボンボンどもから意地悪されてもどこ吹く風。スルーをしてたどころか、逆に相手に近づく切っ掛けにすらしていた。
ぼくは下らないと相手を視界にすら入れなかったが、なぜそんな面倒なことを?と訊いたらアーベルは少し呆れ顔でこう言った。
『将来のために決まってる。政治家になるなら、人脈は広ければ広い方がいい。それから、子ども時代からしっかり独り立ちしなるべく禍根のない清廉潔白な暮らしをしなければ、将来どんな悪影響があるかわからないだろ?
意地悪し返した相手が妨害するとも限らないし、予想外のところから足を引っ張られるかもしれない。
マイナスの人間関係は作らない方がいいに決まってる』
7歳とは思えないしっかりし過ぎたアーベルの大人びた考えは、確かに後々役立つのだけど。その時ぼくは、痛々しい印象を受けた。
毎日朝昼夜。授業以外にも机にかじりついている彼は、1日12時間は勉強してるんじゃないかというくらいだったし、それ以外にも付き合いや何やら努力していて……
まあ、お陰でぼくはたくさん助けてもらえたのだけどね。
将来グレース王国がレイ王子が帰国するまで崩壊手前のまま踏ん張れたのは、彼が若き大臣としてストッパーの役割を果たしてくれたのだから。