Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
結局ぼくがグルンデシューレの3年生になった時まで、女王陛下に直に逢うことはなかった。
女王陛下がグルンデシューレの公的な行事に臨席することはあっても、もはや自由に行動はできないのかそれ以外に姿は見ない。
遠目に見てもわかる。数年経っても相変わらず姿は小さなままだ。
アーベルにだけはこっそりと女王陛下に逢ったことを打ち明け、いつか協力してもらう旨を取り付けておいた。
ヨーゼフとフランツは気のいい仲間同士ではあるが、全てを晒す必要はない。お人好しで単純な二人だから、よく考えず突っ走ることが安易に想像できるからだ。
子どもであるぼくたちも、小さな社会である集団生活に揉まれれば、少しずつ不条理さや理不尽さや自分の限界を知っていく。
4年でグルンデシューレを卒業する10歳でほぼ将来を決めねばならない。
総合大学を目指すギムナジウムは成績優秀な者しか入れないし、実科学校のレアルシューレは高等専門学校から専門大学へ進学の機会もあるが、やはり成績優秀な者しか無理で。後は職業訓練のための進学しか残されない。
もちろん、ぼくはアビトゥーアを得るためギムナジウムを目指していたから、アーベルとともに勉強を重ねていたけどね。
おそらく、フランツがレアルシューレ。ヨーゼフがハウプトシューレに進学するだろう。
そして、3年の夏。
女王の暗殺命令が出たのを知った。